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2023.1
【創作】記憶喪失シリーズ、完結
漠然と頭の中に思い描いていた物語を、納得のいく形で無事完結に持っていくことができてて本当に嬉しい。書きあがったものを読んで、ほっとしている。2023年、幸先良し。
ご存じの通り、この物語のとっかかりになったのは、2年近く続けてきた「今日の二人はなにしてる」の中にあった記憶喪失関連のお題。
取り組み始めて二日目に初めてこのお題と出会った。一つ目のお題が日常生活系の辺り差しさわりのないものだったのに対して「へえこんな非日常的なお題もあるんだ!」と驚いたのが第一印象。
そうして110番目に最後の関連作品をかくまで、この記憶喪失にまつわるお題は全部で4回出てきた。お題を引いた順番も奇跡的に物語を繋げ安かったと思う。
ここまで書くと愛着も湧くというか、この二人はこの後どんな展開をたどるんだろう、ということを考えるようになる。
そうして色々な物語を描く合間にそんな二人のことを考え続けた結果、うっすらと二人の行きつく先が見え、連載にして完結を目指してもいいかもしれない、と思い至ったのであった。
・ストーリー展開
ぼんやりと、でもずっと考えていたのは、『記憶を失ってもまた相手に恋をする』という、まあベタな展開。自分の中に在る相手への気持ちは、たとえ記憶を失っても根底は揺るがない。という点はベースにおきたかった。
けれど、書きながらずっと気に掛けていたのは忘れられてしまった側のこと。
中盤でも触れたけど、記憶を失った6は駆けつけてくれた11に対して「誰?」といってしまう。もちろん悪意はないし状況的に仕方のないことではあるんだけど、それにものすごくショックを受けた11を同時に書いてしまったので、私はどうしても11に救いのある最後にしたかった。
作中でも書いたけれど、11は6が記憶を失って自分のことを忘れてしまったことにものすごくショックを受けていて、入院中も自宅でろくに眠れないし、次から接触する際は相手の中に踏み込み過ぎないよう細心の注意を払っている。一緒に住んでたことをずっと言い出せないし、いざ戻ってくるとなったとき、勿論退院は嬉しいんだけど、一緒に暮らすことはできないと本気で思っている。この辺が11の中での葛藤もやっぱり一番大きい。6のことは変わらず愛しているけれど、忘れられてしまったことがトラウマ級にショックで、またあんな思いをするなら今目の前にいる6とは新しく別の関係を築きたい。そのためには恋人として今まで築き上げてきたもののなかでは一緒に生活できない。そう思ってる。11に絶大なスパダリ夢を見ている私にしては、随分とヘタレにさせてしまった。先に割り切ることが出来たのは6だったね。
記憶喪失は通して6視点でのみしか書かなかったから、11の思惑や苦悩は一切書くことが出来なかった。番外編とかで書いてもいいかなと思いつつ、辛い気持ちが多くなるから今は考えてない。ここで供養。
『記憶を失ってもまた相手に恋をする』ということは、6は満足だろう。記憶を失っても自分の中に一つ揺るがないものがあるとわかるだけでも前向きに物語を終えることが出来る。でも11は? 6の記憶が戻らなければ、愛し合っていた時間が過去になってしまう。新しく6との時間や関係性を再構築したとしても、6の記憶が戻らない以上は11にとっても別物になってしまう。彼が、彼こそが一貫して6を愛して導いてくれるのに、それってなんだか救いがなさすぎない??
この辺の折り合いを考えるのが難しかったけれど、無難にというか、やっぱり6は記憶を取り戻してもらおうということになった。その過程で『記憶を失ってもまた相手に~』というのがあるのは悪くないだろうし(6の心境にも一貫性が出る)、思い出すことが出来た理由が『彼を愛していたから』に帰結できるのは我ながらうまくまとまったと思った。
二人の関係性は別物にはならず、途中でアクシデントはありつつも、一つの長い線のつながりに戻ってくることが出来た。……はず。そんなふうな物語に仕上がってたらいいなと思う。
・本にしようかな?
良い感じでストーリーがまとまったので、製本してもいいかなとは思っている。
当然と言えばそうなのだけど、最初のいくつかは数あるお題のうちの一つとしてしか考えていなかったし、「一日で書き上げる」「とにかく完成させる」が目的だったせいでクオリティは低い。単純に短いというのもある。
連載にしようと動き始めてからは逆に思い入れが強すぎて熱が入りすぎたし、それらが正直バランスが悪い。
でも製本にあたって書き直すのもちょっと…そこまで労力は割けないというか、他にも書きたいものが溢れかえっているのでそこまで手が回らない現状。
とやかく考えず一冊作っちゃってもいいかな。ちょこっとさんで1冊、A5にしたらそこまで値も張らないでしょうし。
黒本が終わったら考えようっと。
本タイトルは『思い出の欠片と、知らない君』にしようと思ってる。何かというと、タイトル考えてくれるAIから導き出されたもの。悪くないんじゃないだろうか!これをいつか採用することを念頭に入れ、本文の最後にも「思い出の欠片」という言葉を入れてみた。