密夜の約束 - 1/4
仄暗い部屋の中で組み敷いた白い躯体にそっと手で触れると、しなやかな肌はまだ熱を帯びていて吸い付くように合わさった。荒い呼吸で上下する胸の動きから目が離せない。生きているのだ、こんな僕たちでも。空虚な胸の中に安堵に似たものが湧いた気がして短く息をついた。
胸元に口付け濡れた唇で強く吸い上げた。残された赤を見て、その出来栄えに満足して目を細める。
嗚呼、と呟いた声は、恍惚として暗い部屋の中で響いた。
「僕のことを、忘れないでくださいね」
感嘆か、或いは哀願か。
うっとりと蕩けるような声は、静かに闇の中へと溶けていく。