雨乞い - 1/4
不自然に甘い洗剤の匂い。眠気を誘う単調な機械音。変わらないそれらが、あの夜の記憶と重なる。
そうあれは、雨の降る夜だった。ベッドの上なんかじゃない。かたい机に手を付いて、立ったまま後ろからされた。身体が濡れているのは雨にあたったせいだと思っていたけれど、肌の上に残るものがなんなのか、最後にはもうすっかりわからなくなっていた。台風のような雨風から壁一枚だけ隔てた真っ暗な空間で、動きに合わせてがたがた揺れる机だけが唯一理性を繋ぎとめていた。着ていたものも、自分を待っているものも、全てを投げ打ってでも相手が欲しかったあの瞬間の気持ちは、今も克明に覚えている。
いつだってコインランドリーに来ると、雨が降らないだろうかと外を見てしまう。あやまちと一言で片付けるにはかけがえのない一夜の記憶を、記憶よりも鮮明に思い出したいと願ってしまう。
自分の生きたなかであんなにも興奮を覚えた出来事は、他になかったから。
※注意※
・18000字程度
・11が最後まで名乗らない
・モブと6の関係性の匂わせ
・公共の場にて
・NTR(寝取り)
・何でも許せる人向け
・何でも許せる人向け
・本当に何でも許せる人向け
大丈夫そうな方のみどうぞ