086 ソファで居眠りをしているのを発見

 遠くで物音がした気がして、マールーシャは眠りの縁から戻りゆっくりと目を開けた。ぼんやりと瞬くと、視界に広がるのは見慣れた天井。身体は少し痛い。ソファでくつろいでいるうちにおかしな姿勢のまま眠りこけてしまったようだ。
 うーんと伸びをすると、視界の端で人影が揺れた。見るとソファの近くにゼクシオンが立っている。片手にはスマートフォン。

「どれくらい寝てた」
「十分も経ってないですよ」

 まだ眠たい声で聞くマールーシャにそっと近付きながらゼクシオンは答えた。

「疲れてるなら、部屋へ行ったらどうです」

 そういうと足元にかがんで、手から滑り落ちてたのだろう雑誌を拾い上げて隣に置いた。

「一緒に行くか」
「行きません」

 つんと答える彼は、スマートフォンに夢中だ。心なしか口元が緩んでいるように見える。そういえば起きる間際、機械音が聞こえた気がする。何か操作していたのだろうか。
 そうかあ、とぼんやりマールーシャは答えながら身を起こしてクッションを手繰り寄せた。抱え込んで顎をのせながらご機嫌な様子の恋人を眺めていると、なんでもない日常がとてもあたたかいものに思えた。
 胸の内にじんわりと味わっているうちに、多幸感が再びマールーシャを心地よい微睡みに誘いこんだ。

 

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今日の116
ソファで居眠りをしているのを発見。あんまり無防備なので写真を撮ってやった。間抜けな顔。……かわいいから待ち受けにしとこ。