あなたが欲張りでよかった - 2/2

*おまけのsideZ

 

(びっくりした……)

 独占したい、だなんて。危うく勘違いしてしまうところだったが、ブラウニーを睨みつけながら呟くマールーシャをみるに、きっとそのままの意味だろう。そんなに甘いものが好きだなんて知らなかったな、と思いながら、ゼクシオンは冷蔵庫の中で出番を待っている彼のために用意したチョコレートを思い浮かべた。舌の肥えているであろう彼に贈るものとしてふさわしいものがわからず、悩んだ末ありきたりな有名チョコレートブランドで見繕った品だ。
 まだブラウニーをぼんやりと見つめている彼を尻目にこっそりと冷蔵庫を開けて品物を取り出す。喜んでくれたらいいのだが。そう思いながら上品にラッピングされた小箱を後ろ手に、そっと歩み寄った。

 

20200214